相続した不動産を売却する際、
「不動産を相続したけど、取得費との関係性は?」
「そもそも取得費って何?」
「どうやって計算するの?」
などと、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。取得費は譲渡所得税を計算する上で極めて重要な要素であり、正しく把握できないと余計な税金を支払ってしまう可能性もあります。
本記事では、相続不動産における取得費の重要性や基礎知識、取得費が分からない場合の対処法などについて解説します。加えて、相続不動産を売却する際の注意点や売却する際に利用できる特例なども紹介しています。
節税につながる実践的な知識を身につけたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、以下の記事では山陰エリア(松江市・出雲市・米子市)の不動産売却をする際のおすすめの会社を紹介しているので参考にしてください。
相続不動産の売却は『取得費』が重要!理由を解説

相続した不動産を売却する際に見落とされがちなのが『取得費』の扱いです。取得費は、売却にともなう譲渡所得税の計算に直接関わるため、正確に把握できるかどうかで納税額が大きく変わります。
ここでは、なぜ取得費が重要なのか、どんな影響があるのかについて、代表的な4つの観点から解説します。
それでは順に、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
譲渡所得税の計算に使われるため
取得費は、譲渡所得を計算する際に『売却価格から差し引く項目』として使われます。具体的には、譲渡所得は『売却価格−(取得費+譲渡費用)』で算出されるため、取得費が正確に分からないと課税対象となる金額が大きくなってしまいます。
譲渡所得が増えれば、その分所得税と住民税の負担も増加します。不動産売却による利益が発生した場合に正しい税金計算を行うためにも、取得費の確認は必須です。
取得費が高いほど、支払う税金が少なくなる
譲渡所得税は、譲渡所得の金額に対して課税されるため、取得費が大きくなるほどその分課税対象額は減少します。たとえば、取得費にリフォーム費用や購入時の登記費用、仲介手数料などが加算できる場合、それらを正しく計上することで税額を抑えることが可能です。
逆に、取得費を低く見積もってしまうと、必要以上に高い税金を支払うことになりかねません。正確に取得費を把握しておくことは、無駄な税負担を避けるための基本的な対策です。
取得費が不明だと、売却価格の5%で計算されてしまう
取得費が分からない場合、『概算取得費』という制度により、売却価格の5%を取得費とみなして計算する方法が使われます。この制度は便利ではありますが、実際の取得費がそれ以上だった場合、本来よりも高い譲渡所得が算出され、税額が増える可能性があるので注意が必要です。
たとえば、被相続人が高額で購入していた不動産でも、資料がないことで結果的に5%しか控除されないという不利益が生じる恐れがあります。可能な限り、実際の取得費を証明できる資料を探すことが望まれます。
取得費の証明ができないと、税務署から否認されるリスクがある
譲渡所得の申告時に取得費を正確に申告しても、その根拠となる証拠書類がなければ税務署に否認される可能性があります。たとえば、売買契約書や領収書、登記費用の明細などがないと、自己申告した取得費を認めてもらえない場合もあります。
証明が不十分なまま申告を行うと、後日修正申告や追徴課税が発生するリスクもあるため、注意が必要です。取得費に関する資料は売却の前から準備・保管し、必要に応じて税理士などの専門家に相談して対応しましょう。
そもそも取得費とは?

そもそも取得費とは、不動産を取得するためにかかった費用の合計額を指し、売却時に譲渡所得を計算する際の基礎となる重要な金額です。
譲渡所得は『売却価格-(取得費+譲渡費用)』で求められるため、取得費が大きいほど譲渡所得が減り、結果として支払う税金を抑えることができます。
取得費には、物件そのものの購入価格だけでなく、購入時に支払った仲介手数料・登記費用・不動産取得税・印紙代などの諸費用も含まれます。また、資産価値を高める目的で行ったリフォーム費用も一部含まれることがあるため確認しておきましょう。
また、相続の場合は被相続人が購入したときの費用を引き継ぐ形となるため、被相続人の取得時点の資料を探すことがとても重要です。
相続不動産における取得費の計算方法

相続した不動産を売却する際に最も重要となるのが、『取得費』の計算です。取得費は、譲渡所得税(売却益にかかる税金)を計算するための基準となる費用であり、正確に把握しておかないと、本来より多くの税金を支払うことになる可能性があります。
取得費の正確な計算式
相続不動産における取得費は、次のように計算します。
各項目の詳細
土地の取得価格:被相続人が土地を購入したときの価格。減価償却の対象外なので、そのまま取得費に含まれます。
建物の取得価格:購入時の建物価格。ただし、これは『減価償却費』を差し引いてから反映されます。
減価償却費:建物は時間とともに価値が下がるため、その分を差し引いて計算します。
諸費用:仲介手数料、登記費用、不動産取得税、印紙代など、購入時にかかった実費。
減価償却費とは?
減価償却費とは、建物の価値が経年によって減っていく分を『費用』として扱う税務上の仕組みです。たとえば、木造住宅なら法定耐用年数は22年とされており、毎年一定の割合で価値が減っていきます。
相続した場合でも、被相続人が取得した日から売却時までの年数をもとに減価償却が計算されます。つまり、実際に自分が使用していなくても、相続時点ですでに『減ったもの』として扱われるのです。
減価償却の計算式
償却率は構造により異なりますが、たとえば木造なら約0.046(耐用年数22年)です。
減価償却の計算例は以下のとおりです。
・土地価格:1,000万円
・建物価格:1,500万円
・経過年数:10年(木造:償却率0.046)
・諸費用:200万円
以上の解説をまとめると、相続不動産の取得費を正確に計算するには、『減価償却を考慮した建物価格の算出』が非常に重要です。取得費が過少に計上されると、譲渡所得が不当に大きくなり、税金が増える原因になります。
被相続人の購入時の資料(売買契約書、領収書など)をもとに、建物と土地の内訳、経過年数、構造種別などを明確にしておくことが節税のカギとなります。不明点がある場合は、早めに税理士や不動産会社に相談することをおすすめします。
相続不動産の取得費に含めることができる費用は?

取得費は、単に不動産の購入価格だけでなく、購入時や所有期間中にかかった一定の費用も加えることができます。正しく取得費を計上することで、譲渡所得が減り、結果的に支払う税金を抑えることが可能です。
ここからは、相続不動産の取得費に含めることができる費用について紹介します。以下の表にまとめたのでご覧ください。
費用項目 | 説明 |
---|---|
不動産の購入代金 | 被相続人がその不動産を購入した際の価格(土地+建物) |
仲介手数料 | 不動産購入時に不動産会社に支払った手数料 |
登記費用・司法書士報酬 | 登記にかかった登録免許税や司法書士への報酬 |
印紙税 | 売買契約書に貼付した印紙代 |
不動産取得税 | 取得時に都道府県に納めた税金 |
測量費・境界確定費用 | 不動産購入時に必要だった測量などの費用 |
資産価値を高めるリフォーム費用 | 建物の耐久性や価値を向上させるために行った改修費用(※修繕目的は対象外) |
相続税の取得費加算分(特例) | 条件を満たせば、相続税の一部を取得費に加えることができる |
費用の根拠資料がないと認められないケースもあるため、書類の整理と保管はしっかり行いましょう。判断が難しい場合は、税理士など専門家に相談するのが安心です。
購入当時の資料がなく、取得費が分からない場合の対処法

相続不動産の取得費を正確に把握するためには、被相続人の購入時の契約書や領収書などの資料が必要です。しかし、古い不動産や長期間保有していた場合には、これらの書類が手元に残っていないことも少なくありません。そのようなときは、いくつかの代替手段を活用することで、合理的な取得費を算出することが可能です。
ここからは、取得費が分からない場合の対処法について解説します。
それでは、取得費が不明な場合の具体的な対処法について詳しく見ていきましょう。
概算取得費(売却価格の5%)で計算する
取得費の資料がまったく見つからない場合には、税法上の救済措置として『概算取得費』を用いることが認められています。これは、売却価格の5%を取得費としてみなす方法で、根拠資料がないときの最終手段として利用されます。
ただし、実際の取得費が5%を上回るケースが多いため、この方法を使うと譲渡所得が大きくなり、税負担が重くなる傾向があるので注意が必要です。したがって、本来の取得費が分かる可能性がある場合は、できる限り他の方法を先に検討することが推奨されます。
登記情報や過去の固定資産税評価額から逆算する
取得費の手がかりが見つからない場合、登記簿謄本や固定資産税評価証明書を参考にすることで、おおよその不動産の価値を逆算することが可能です。たとえば、評価額から過去の相場を推定し、土地と建物の比率をもとに取得費を合理的に算出する手法があります。
このような方法は、税務署との協議や税理士の意見書と組み合わせて利用されることが多く、正確性が高まります。証明書や登記情報を取得しておくことが大切です。
周辺の取引事例や時価データをもとに不動産会社に査定してもらう
地域の不動産相場や類似物件の取引事例を参考にすることで、過去の購入価格を推定する方法も有効です。実際には、地元の不動産会社に依頼して、当時の相場をもとに推定取得費を算出してもらうケースもあります。
この方法は、登記情報だけでは取得費の内訳が不明な場合や、資料が部分的にしか残っていない場合に役立つでしょう。不動産会社の査定書や意見書は、税務署に対する説明資料としても活用できます。
リフォーム・増築などの費用の領収書を探す
取得費に含めることができる費用には、不動産を取得した後に実施したリフォームや増築など、資産価値を高めるための工事費も含まれます。そのため、取得時の資料がない場合でも、領収書や工事契約書などを保管していれば、これらの費用を取得費に加算することが可能です。
リフォーム費用は減価償却の対象外となる場合もあるため、正しく申告することで税額を抑えられる可能性があります。領収書が見つかった場合は、専門家に確認のうえ活用しましょう。
相続不動産を売却する際に利用できる特例や制度

相続した不動産を売却する場合、取得費を正しく計算することに加えて、税制上の特例や控除制度を活用することで、さらに譲渡所得税を軽減できる可能性があります。
これらの制度は、適用条件を満たすことで大きな節税効果を得られるため、売却前にしっかり確認しておくことが大切です。
それでは、それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。
取得費加算の特例
『取得費加算の特例』とは、相続により取得した不動産を売却する際、相続税の一部を取得費として加算できる制度です。これにより譲渡所得が減少し、結果として課税額を抑えることが可能になります。
対象となるのは、相続税を支払っており、かつ相続開始から3年10か月以内に売却を行う場合です。加算できる相続税の額は、不動産の評価割合に応じて按分されるため、すべての相続税が対象となるわけではありません。適用には相続税の申告書や評価明細が必要です。
居住用財産の3,000万円特別控除
被相続人が生前に住んでいた家屋を相続し、その後売却する場合には、『居住用財産の3,000万円特別控除』が適用できるケースがあります。これは、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度で、所得税と住民税の大幅な軽減につながります。
ただし、建物が耐震基準を満たしている、空き家になってから一定期間内に売却されるなど、いくつかの条件を満たす必要があります。控除を受けるには、確定申告での手続きと、関係書類の提出が必須です。
長期譲渡所得の特例
譲渡所得税は、売却する不動産の所有期間によって税率が異なります。相続によって取得した場合、被相続人の取得日を引き継ぐことができるため、被相続人が5年以上保有していた場合には、『長期譲渡所得』として扱われ、税率が約20%に軽減されます。
この特例は自動的に適用されますが、所有期間の計算には売却年の1月1日時点での年数が使われるため、売却のタイミングにも注意が必要です。登記簿謄本などで取得日を確認し、長期譲渡として適用できるかを確認しましょう。
相続不動産を売却する際の注意点

相続した不動産を売却するには、通常の売却と比べて手続きや法的要件が多く、注意すべき点も多いです。特に、登記手続きや税務申告に関わる不備は、売却の遅延や思わぬ税負担につながることがあるため、事前に正確な知識を持つことが重要です。
代表的な注意点は以下の通りです。
・相続登記(名義変更)が完了していないと売却できない
・複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議で全員の合意が必要
・節税のための特例には適用期限がある
・必要書類の準備が不十分だと手続きが進まない
これらを見落とすと、「売却したくても売れない」「余計な税金を支払う」などのトラブルに発展しかねません。売却を検討する前に、相続手続きの進捗状況や税務条件を整理し、必要に応じて司法書士や税理士、不動産会社と連携しながら進めることがスムーズな売却への近道です。
信頼できる不動産会社の選び方

相続不動産の売却は、法的な手続きや税務申告が絡む複雑な取引です。そのため、売却を成功させるには、『相続や税金に詳しい不動産会社』に依頼することが大切です。ただ物件を売るだけではなく、節税アドバイスや売却戦略の提案までサポートしてくれる会社を選ぶことが理想です。
信頼できる会社を見極めるポイントは以下の通りです。
・相続や譲渡所得税に関する知識や実績が豊富か
・税理士や司法書士とのネットワークがあるか
・取得費や特例制度を踏まえた価格提案や説明があるか
・売却スケジュールだけでなく、リスクや費用面の説明が明確か
・質問に対して丁寧かつ専門的な回答をしてくれるか
初回の相談時から、丁寧なヒアリングと明確な見積もり・提案があるかを確認し、信頼できるパートナーかどうかを見極めましょう。口コミや実績、担当者の対応も判断材料となります。複数の会社に相談し、比較することも失敗を防ぐ大切なステップです。
山陰エリア(松江市・出雲市・米子市)で不動産売却する際のおすすめの会社

不動産売却を検討する際は、地域の相場や特性を理解した専門会社を選ぶことが非常に重要です。山陰エリアには、売却のプロセスをトータルで支えてくれる信頼性の高い企業が存在します。
ここでは、不動産売却を成功させたい方に向けて、おすすめの会社を2社ご紹介します。
それぞれの会社が提供する強みや対応力を確認し、より適した相談先を見つけるための参考にしてください。
ハウスドゥ松江・出雲・米子(西日本ホーム株式会社)

西日本ホーム株式会社は、島根県と鳥取県を中心に『ハウスドゥ』ブランドを展開している建設・不動産サービス企業です。
項目 | 詳細 |
---|---|
屋号 | ハウスドゥ 松江・出雲・米子 |
会社名 | 西日本ホーム株式会社 |
本社 | 〒690-0049 島根県松江市袖師町2-32 TEL:0852-24-7703 URL:https://www.nn-h.com/ |
ハウスドゥ 松江 | 〒690-0017 島根県松江市西津田5-1-1 TEL:0852-33-7778 URL:https://www.housedo-matsue.jp/sell |
ハウスドゥ 出雲 | 〒693-0004 島根県出雲市渡橋町3-2 TEL:0853-31-4010 URL:https://www.housedo-izumo.jp/sell |
ハウスドゥ 米子 | 〒683-0804 鳥取県米子市米原7-15-27 TEL:0859-30-3100 URL:https://www.housedo-yonago.jp/sell |
松江・出雲・米子の各エリアに店舗を構え、地元密着の姿勢で不動産売却を含む幅広い住まいのニーズに対応しています。新築・リフォームから土地売却までを一括してサポートできる体制が整っており、売却に関する相談もスムーズに行えるのが特徴です。
会社理念として『安心、感動の住まいの提供』を掲げ、単なる不動産取引にとどまらない丁寧な対応を徹底しています。地域の実情をよく理解しているスタッフが在籍しているため、山陰エリアで納得のいく売却を目指す方に、非常に心強い相談先としておすすめできます。
また、以下の記事ではハウスドゥ 松江・出雲・米子について口コミや特徴について書いているので参考にしてみてください。
カチタス出雲店・米子店

株式会社カチタスは、中古住宅の買取再販で国内最大規模の実績を持つ上場企業です。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社カチタス |
出雲店 | 〒693-0012 島根県出雲市大津新崎町1-24-1 有藤テナント1FA TEL:0120-945-772 URL:https://home.katitas.jp/shop_info/82 |
米子店 | 〒683-0845 鳥取県米子市旗ヶ崎7-14-12 1F1号室 TEL:0120-870-521 URL:https://home.katitas.jp/shop_info/78 |
出雲店・米子店では、全国的なネットワークを活かしながら地域に根差した迅速な対応を行っています。特に注目すべきは、仲介を介さずに自社で直接物件を買い取るスタイルです。これにより、査定から現金化までを短期間で実現することが可能で、最短3日で査定結果提示、最短3週間で決済完了というスピード感を実現しています。
また、築年数が古い物件や他社で断られた案件にも柔軟に対応しており、幅広いニーズに応えています。不動産売却後のトラブルを回避したい方や、早急に現金化したい方にとって、安心して任せられる存在です。明確で実績に基づいた対応力が魅力であり、初めての売却でも心強いサポートが受けられるでしょう。
また、以下の記事では株式会社カチタス 出雲店・米子店について口コミや特徴について書いているので参考にしてみてください。
まとめ
本記事では、相続不動産における取得費の重要性と計算方法、取得費が分からない場合の対処法、節税につながる特例制度や売却時の注意点について解説しました。
取得費は譲渡所得税の課税額を左右する非常に重要な要素であり、正確に計算しなければ不要な税負担が生じる可能性があります。取得費の資料がない場合でも、代替手段を活用すれば合理的な算出が可能です。
また、特例制度を活用することで、さらに節税効果を高めることもできます。安心して相続不動産を売却するためには、正しい知識と早めの準備、そして信頼できる専門家への相談が不可欠です。ぜひ本記事を参考に、納得のいく売却を目指してください。